いつもおおきに。
新型コロナウイルス感染で、小児に川崎病のような症状が起こると話題ですね。
どうか【川崎病】に対する偏見やデマが拡散しないことを願います!
川崎病とは?
勘違いしてほしくないこと!
- 川崎病は感染症ではありません!(血管炎です)
- 川崎病は伝染しません!(隔離不要です)
疾患概念
- 1967年、川崎富作博士が発表しました
- 別名:小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群
- 好発年齢:約9割が5歳未満(ピークは生後6~11か月)
- 患者数:年間1万5千人程度(0~4歳 10万人対150人程度)
- 病気の本質:全身の小~中型の動脈の炎症(感染症ではない)
- 合併症:無治療では約30%に心臓冠動脈病変を生じ、心筋梗塞の危険因子となります
原因
- 何らかの感染症と環境因子を背景に、免疫応答が過剰反応し、自己の血管炎が生じると考えられています
- 新型コロナウイルス感染がきっかけで血管炎を生じ、川崎病のような病態になる可能性はあり得ます
症状・診断基準
- 上記のうち、5つを満たすものを【川崎病】と診断します
- 同様の症状をきたす病気はたくさんあり、診断は容易ではありません
- 上記の4つ+心エコーで冠動脈瘤を認めた場合も【川崎病】と診断します(冠動脈瘤は特徴的な所見です)
- 指趾の紅斑は新型コロナウイルスでも<COVID toes>として報告があり、川崎病の症状と何らかの関連があるのかもしれません
治療
治療の目標は、重大な合併症である心臓の冠動脈障害(冠動脈瘤)を予防することです。
冠動脈瘤は発症後8~9日以降に完成するので、それまでに血管炎を抑え込みます!
当然入院が必要です。
- 免疫グロブリン大量投与(約8割に効果あり)
- 上記で効果がない場合は、ステロイド投与もしくはステロイドパルス療法を併用
- それでも奏功しない場合は、免疫抑制剤や血漿交換療法
予後
心臓の冠動脈障害の有無が規定因子となる!
- 冠動脈障害がないもしくは自然退縮した場合は、長期的にほぼ問題ありません
- 冠動脈瘤が残存した場合は、厳重な経過観察が必要です
- 径6-7mm以上の冠動脈瘤は心筋梗塞のリスクが高くなります
まとめ
- 川崎病は感染症ではなく、伝染することはありません
- 川崎病の重大な合併症は心臓の冠動脈障害で、これを防ぐために早期の治療介入が重要です
新型コロナウイルスとの関連
- 新型コロナウイルス感染をきっかけとして、血管炎を発症し、川崎病のような病態が生じる可能性はあり得ます
- 新型コロナウイルス感染では、成人でも血管炎が生じ、血栓塞栓症による脳梗塞、心筋梗塞、四肢梗塞が報告されています
- 新型コロナウイルス感染で指摘されている指趾の紅斑(COVID toes)は、川崎病の一症状に類似している可能性があります
川崎病に対する偏見やデマが流れませんように...
おわり💕